中学時代盲腸の手術で開腹手術を行った。
縫合に使われたのは抜糸不要の豚裁の細胞からできた糸であったらしい。30代の時腎臓結石になる。肉体から(生体)鉱石が生まれた。私の肉体は私のものか。
私の肉体の一部となった私以外の肉。肉体から生まれた鉱物。
このような事象から「自己」が揺らぐ。
物体を扱う歴史を垣間見ると素材として扱う物体にはその歴史を纏い、その歴史を制作者の解釈により、具現化作品化してきたと思える。
たとえばオブジェは商品として支配する存在としてある物体を、非商品化することにより「他者」として人と同じ地平に置いた。
いままで、植物、生物、ブタの皮、真珠、蚕繭等の選択は「自己」と「他者」の揺らぎがあるものを選択してきた。
その素材が纏う物語をテーマとして表現としてきた。
「もののたましい」とは、「百鬼夜行」絵巻に現れる道具や無機質なものにも命を宿していることをタイトルとした。
2022.12 加藤隆明