荒木はすべて植物や花をモチーフとした作品を制作しております。
まず輪郭線を注意深くデッサンし写し取ります。そこから自身と花にとって本当に必要な線だけを厳選に厳選を重ね抽出し、漆喰で凹凸をつけた下地の上に描きます。
人間というものは足りないものや不安定な事を何かで埋めようとするのは一種本能的な衝動だと言われております。絵画制作においても、作家は「どこで止めるか」というのは最大の葛藤であり、作品に対する不安を色や要素で「足したく」なるものです。しかし荒木の作品はどこまで「引くか」という非常に理性的で禁欲的な、まるで千利休が見出した「侘び・寂び」の境地に近い美意識により展開させています。
目の肥えた者ほど思わず唸る精錬された線をぜひご堪能ください。